うさぎの蝶番

※個人の感想です

愛を感じる幸福

人でも物でも何でも良いのだけれど、わたしの好きなものたちが、わたし以外の人に愛されている様子を見るのが大好きである。

 

一番最初に思いつく例が、『スパイラル~推理の絆~』という漫画とその作画担当の水野英多先生という構図。わたしの人生に確実に何かしらの影響を与えた作品の一つだけれど、読んだことのない方には話を読み進めていくうちに心の中に自然と沸き上がってくる感情を大切にして欲しいので、世界観やキャラクターの詳細はここには書かないでおく。読んだことのある方、ファンの方とはぜひとも合宿でも行って感想を語り合いたい。

 

本編の連載が終わったのが約10年前の2005年で、シリーズのラスト作品である『スパイラル・アライヴ』連載もその3年後の2008年に終了している。しかし、水野先生は未だに登場キャラクターの誕生日にはその子のイラストをツイッターにアップロードされていて、それを見る度にわたしは「ああ、この子はちゃんと愛されているんだなあ」と幸せな気分になる。(もちろん現在も別の連載を抱えていらっしゃるわけだから、毎年全キャラ分あるかといえばそうではないのだけれど)

というのも、メインキャラクターのほとんどが、作中で常にもがき苦しみながら生きていたのをずっと見続けていたから。登場人物の一人の台詞をうろ覚え引用するならば、「暗闇の中で手探り」状態。

投稿されるイラストの中の彼らは、本編とは別の平行世界にいる彼らなのだろうけれども、それでものほほんと平和な世界で笑ったり仏頂面してたり無表情だったりしている姿を見るとほっとする。

 

似たような感覚は、アイドルの応援をしているときにも味わえる。アイドルが自分たちの冠番組ではないバラエティなんかに出演した際は「やっぱり表情がころころ変わるとワイプでよく使ってもらえるな」や「以前の◯◯という仕事がこれに結びついたのかな」などとファンたちによって真剣な様子で語られている(十中八九本人には伝わらないけれど)。もちろん「◯◯さんに話をふってもらったとき、もっと××について詳しく言えば良かったのに」などといった駄目出しもあるけれど、そういった会話が「アイドルが好き」という共通項だけで繋がっている人たちの間で繰り広げられているのを眺めていると、やはり嬉しくなる。

別にその子が売れて仕事が増えたって自分たちには一銭の得にもならないし、むしろイベントやグッズが増えることで時間やお金をより多く費やすことの方がほとんどである。それにも関わらず、「好きだから」という理由で自分の好きな子が自分以外の人たちに愛されているのを見るのはたまらなく幸せだ。